Kindle Unlimitedについて考える【本も定額制サービスの時代】

突然ですが、最後にCDを購入したのはいつですか?

私は2011年に購入したONE OK ROCKの「残響リファレンス」というアルバムが最後で、それ以来、CDを購入しなくなってしまいました。それどころか、TSUTAYAなどでCDレンタルをすることもなくなりました。MDにダビングして、当日返却していた頃が懐かしいです。

今、音楽の世界では配信が当たり前で、定額制の楽曲聞き放題サービスが主流です。「Goole Play Music」「Apple Music」「Prime Music」「LINE MUSIC」といった聞き放題サービスに加入している人は多いのではないでしょうか。

もっと言えば、YouTubeでは公式のチャンネルで無料で聞けます。

もうわざわざCDを購入する理由もなくなってしまいました。それどころか、配信で「楽曲」を購入するということもなくなっています。もはやそのビジネスモデルは崩壊し、サブスクリプション(月額課金制)モデルに取って代わっています。

この流れは、出版業界にも到来してます。その先駆けとなっているのがAmazonが提供している「Kindle Unlimited」サービスと言えます。

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Kindle(キンドル)とは

Kindle Unlimitedの前にまずはKindleが何なのかを簡単におさらいしていきましょう。

Kindleとは、Amazonが提供する電子書籍関連サービスのことです。公式の説明では、「電子書籍リーダーや電子書籍、電子書籍閲覧再生専用アプリ、または関連クラウドサービスなどの総称である。」と、されています。

Kindleは、Amazonが販売している電子書籍専用デバイス(Kindle端末)の名称でもあります。

電子書籍専用デバイスとは、電子書籍を読むことに特化したデバイスのことです。画面が反射しにくく太陽光など強い光の下や屋外でも快適に読書ができる、さらにはお風呂でも読めるなど電子書籍を場所を選ばすどこででも快適に読むために様々な機能が付いています。

Kindle端末の最大の特徴として「e-ink」ディスプレイを採用しているという点が挙げられます。電子ペーパーを採用しているので、ディスプレイが紙のような表示になり、体験してみるとわかりますが、長時間読書していても目が疲れず、すごく読みやすいです。

また、Kindle端末には4Gモデルというものがあり、それを利用すれば無料で4G回線を利用できるのでWi-Fi環境がない場所でも、本をダウンロードすることができます。ただし、その分4Gモデルの価格は高くなります。

ただ、Kindle端末は白黒ディスプレイであることも特徴です。

Amazonが販売しているデバイスとして「Fireタブレット」がありますが、こちらは液晶パネルなので、Kindleとは違い通常のカラー表示となります。

Kindle端末は、その名の通り、Kindle専用の端末ですが、FireタブレットはiPadなどと同じく、様々なアプリが使えて、YouTubeやAbemaTVといった動画サイトも観ることができます。

Kindle Unlimitedとは

Kindle Unlimitedは、サブスクリプション(月額課金制)の「Kindle読み放題サービス」のことです。2016年8月に、月額980円でサービス開始されて、大きな話題になりました。

対象の本が月額980円で、いつでもどこでも読み放題になります。Kindle端末だけでなく、iPhoneやAndroid端末、パソコンからでも読むことができます。月2、3冊読めば余裕でお釣りがきます。

もちろん全ての本が読めるというわけではなく、Kindle Unlimited対象となっている本に限られます。ただ、その種類は豊富で、書籍、コミック、雑誌を含む和書12万冊、洋書120万冊以上が読み放題になります。

IT系技術書の値段が高いのは周知の事実。例えば以下の本。ネットワークに関わる仕事をしているなら読んでおいて損はない良本です。

それが、Kindle Unlimitedに登録していれば、無料で読むことができます。

こういった技術書、専門書は他にもたくさんあります。加えて、ビジネス本やコミック、小説、趣味、さらに週刊誌などの雑誌も読み放題となっており、980円という月額はすぐにもとが取れます。本好きでなくても登録しておいて損はないサービスです。

ただし、一度に借りられる本は最大10冊までで、11冊目を読みたければ、1冊返却(Kindle端末やKindleアプリから削除)しなければなりません。
※2021年11月追記:Amazonからの公式発表はないようですが、20冊まで貸出枠が増大したという声もSNSでよく聞かれます。

Kindleオーナーライブラリーとの違い

Kindleオーナーライブラリーは、Kindle端末もしくはFireタブレットを持っているAmazonプライム会員であれば「1ヵ月に1冊、対象となる本が無料で読める」というサービスです。

対象本はKindle Unlimitedより少なく、次に紹介するPrime Readingより多くなっています。

Prime Readingとの違い

Amazonプライム会員なら、「Prime Reading」サービスを利用できます。Prime ReadingはKindle Unlimitedが開始された約1年後、2017年10月から開始されたサービスです。Prime Video(プライムビデオ)での動画見放題のサービスは知っていても、こちらのPrime Readingは知らない方が結構いるみたいですが、それは非常にもったいないです。

「Prime Reading」サービスの利用条件はPrime Videoと同じくプライム会員であることのみです。対象の本であれば読み放題というサービスです。

ただし、Kindle Unlimitedと同じで一度に借りられる本は最大10冊までで、11冊目を読みたければ、1冊返却(Kindle端末やKindleアプリから削除)しなければなりません。

Kindle端末を持っていなくても、パソコン(WindowsでもMacでも)やスマホ(iPhoneでもAndroidでも)にKindleアプリをダウンロードすれば、対象の本を読むことができます。

では、Kindle Unlimitedとの違いは何でしょう。どちらも読み放題で一度に借りられる本は10冊までという制限は変わりません。

それは、対象本の数の違いです。

Kindle Unlimitedは対象本は200万冊以上とも言われていますが、Prime Readingは数百冊となっており、Prime Readingの対象本はKindle Unlimitedと比べると圧倒的に少ないです。

ここまでのことから、Prime ReadingとKindle Unlimitedは以下のような住み分けができると考えます。

Prime Readingは、Kindle本を読んだことがないプライム会員がPCやスマホにKindleアプリをダウンロードさせるための、いわゆる「呼び込み」アプリであり、それで物足りなくなったらKindle Unlimitedに登録して月額料を払ってね、といったところだと思います。

Amazonの戦略にはまってしまうのもシャクかもしれませんが、それでも、Kindle Unlimitedは我々エンジニアにとっても登録しておいて損はないサービスです。

Kindle本の種類

Kindle端末やKindleアプリで読める本、つまり「Kindle本」は出版社から出版された市販本だけではありません。

個人が書いた本もKindle本として出版することができます。例えば以下の本。

実はこれ、私が書いた本です。(そんな威張るほどのモノではありませんが。)

まあ、私の本のことは置いておいて、各分野で活躍する方々がこういった本を出版しており、とても役立つ本がたくさんあります。しかも、それらほとんどがKindle Unlimited対象であり、Kindle Unlimitedに登録していれば無料で読むことができます。

市販本には書かれていない、生の新鮮な情報が手に入るのでこういった本もおススメです。
(ただ、中には、メルマガ登録を目的とした中身があまりない本もあるようです。メルマガ登録後、巧みに高額な商品を買わされるケースもあるようですので、その点は注意してください。)

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Kindle Unlimitedと出版社の対立

Kindle Unlimitedは、我々読者からしたら良いサービスですが、出版社からしたら良いサービスとは言い難いところがあります。

実際、Amazonと大手出版社で、もめたことがあります。

Amazonは、Kindle Unlimitedサービス開始時、対象本の数を増やすために、「期間限定で追加料金を出版社に払う契約」をして、大手出版社の本も対象本に加えるという戦略を取ったのですが、あまりの人気に当初想定した追加料金を大きく超えてしまったようで、一部の人気作品を出版社に無断でKindle Unlimitedの対象から外したそうです。

これに対し、一方的に配信停止されたと抗議したのが講談社をはじめとした出版社だったのですが、それに反感を買い、なんとAmazonは講談社の全対象本を削除するという暴挙に出ました。

その後、Kindle Unlimitedで講談社の雑誌や書籍が再び配信されたのは2020年になってからでした。

時代は紙の書籍から電子書籍に向かっているのは最早疑いようがありませんが、出版業界も様々な変化が生じているようです。