プログラミング未経験者だけどシステムエンジニア(SE)になれるのか。
今回の記事のテーマですが、結論から言ってしまいます。
プログラミング未経験でもシステムエンジニアになれます!
現場の声としてSEは足りていません。コロナ禍で、2度目の緊急事態宣言が出ているこの現状でも、人は足りていません。
昨今、IT業界は超が付くほどの売り手市場です。私が勤めている会社の採用担当者も必死で人材を探してます。人を見つけてきたら報酬をもらえる制度もあります。
このような背景があるので、未経験でもやる気のある人材はウェルカムな状態です。
ただし、そうは言っても未経験者ならではの苦労もあります。入社時は歓迎されても、実際働いてみたら現実は厳しかったということもよくあります。今回は、未経験者でもSEになれるのか、なった後での苦労とはどんなことか、その辺りについて考えていきます。
深刻化するIT人材不足
IT人材が不足しているといっても、どれくらい不足しているのかイマイチ、イメージできないかと思います。そこで、実際の統計データから考えてみます。
経済産業省のIT人材需給データ
まず、経済産業省が国勢調査を基に試算した「IT人材需給」の結果を見てみます。
上図より、ITニーズの拡大によりIT関連市場規模は今後も拡大していくのに対し、IT人材の供給が追いついていないことがわかると思います。2018年のデータですが、その時点で既に人材が足りていません。そして、そのギャップはどんどん広がっていき、2030年にはIT人材が最大79万人も不足すると示しています。世界中で様々なモノのIT化が加速する中で、日本が後れをとらないためにも必要とされるIT人材の育成は急務とされています。
このような課題を背景に、小学生のプログラミング教育の必修化するなど、「義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進する」という国レベルでの対策が進められています。
転職サイトの最新データ
上記データは少し未来の話です。次は、2021年現在のデータから考えてみます。
下表は、転職・求人サイトの「doda」が出している転職求人倍率レポート(2021年1月)です。
業種「IT・通信」系は、求人倍率「5.40」とものすごく高い数字になっています。続けて、職種別のデータも見てみます。
「技術系(IT・通信)」の求人倍率はなんと「8.08」となっています。転職希望者1人に対して、8件以上の求人があるということです。
私もこのデータには少しビックリしました。いったいどれだけ人が足りてないのでしょう。
未経験者ならではの苦労
ここまでは、IT人材不足の深刻さについて見てきました。IT企業は未経験者であっても新しい人材を欲しがっているということが伝わったのではないでしょうか。
しかし、それは実際の開発現場で働くエンジニアたちとは、少し感覚のズレみたいなものがあります。
開発現場では、即戦力となる経験者を求めています。プログラムを書いたこともなく、サーバーの構築経験もない未経験者をポイッと入れられても困ってしまいます。
まずは戦力となるよう教育するところから始めないといけないわけですが、それは現場の助けになるどころか負担になってしまうことは言うまでもありません。
新卒採用であれば、研修から初めてくれる企業が多く、かつ、その後もOJTという形で先輩社員の下で働くことができるので、まだ良いのかもしれません。ただ、中途採用の場合、そういったものもなく、いきなり業務に就かされることも珍しくありません。
IT用語が飛び交う現場では、「そんなことも知らないの?」と、時にバカにされてしまうこともあるでしょう。一緒に入った人はどんどん仕事を覚えていくのに、自分だけできないということもあるでしょう。そういう言葉や劣等が、ダメージとなり、辞めていってしまう人をたくさん見てきました。
しかし、初めのうちに、恥ずかしい思いをした方が色々気づくし改善も早いです。
未経験であったり、経験が浅い場合は、
「少しでも多く、少しでも密に経験を積む。仕事をえり好みしている余裕などない」
そういった心構えを持って現場に向かってみてください。
そうすれば、心の負担は軽減されます。しかし、それでもキツイと思ったら、それはあなたが悪いのではなく、働く現場、環境が悪いのかもしれません。IT業界は、「転職して当たり前」の世界だと言う人がいます。簡単ではないかもしれませんが、そいうときは別の会社に移ることも視野にいれてみてください。
まとめ
IT業界は需要が供給に追いついておらず、未経験でも求人が豊富にあります。しかし一方で、IT業界も競争社会に変わりないので、蹴落としあいみたいなものは常にあります。また、覚えることも多く、新しい技術もどんどん生まれてくるため、未経験でシステムエンジニアになった場合の苦労は多いです。
恥を書いたり、失敗することもあるでしょう。しかしそれをバネにすることができれば、追いつくのも早いです。それらの点を踏まえて、それでもシステムエンジニアになりたいかどうかを考えてみてください。