みずほ銀行またしてもシステム障害、原因は?【憤怒の怒りネットの声】

みずほ銀行、システム障害発生
このニュースを耳にしたとき、「ビクッ」と反応した現役エンジニアは多いのではないでしょうか。

どの箇所だ?、どこのベンダーの不具合だ?

原因追及とともに緊張と恐怖で震え上がる人、やっぱりなと思う人と、いろいろいるかもしれません。

みずほ銀行は2月28日、ATMやインターネットバンキングにおいて、一部取引が利用不可となっていると発表しました。ATMに挿入したキャッシュカードや通帳が戻ってこないという、我々、利用者にとって何とも恐ろしい事態になり、現場は騒然としてました。

振込予約や入金、出金などの取引が多く発生する月末の日曜日でのシステム障害であり、タイミングも最悪で、影響受けた人も多く、大きなニュースとなっています。

今回はこのシステム障害の内容と、障害発生後のネット上の声から、利用者の反応はどのようなものかを探っていきます。

システム障害について

2月28日に発生した大規模なシステム障害について、みずほ銀行が持つATM約5900台のうち4318台が一時取引できない状態になりました。ATMに挿入したまま戻ってこなくなった通帳やキャッシュカードは5244枚あったといいます。

※3月1日 午後3時までに支店内外のすべてのATMは復旧したと発表しています。

システムの過負荷が原因

みずほ銀行は27、28日にかけて、1年以上動いていない定期預金口座のステータスを「不稼働」に変更するデータ更新作業を行っていたそうです。その更新作業は今回が初めてだったそうで、それが月末処理と重なり、システム過負荷となったことがシステム障害の原因であると発表しています。

みずほ銀行の基盤システムには、どこかで問題が起きた場合にシステム全体がダウンしないよう、一部の機能に制限を掛けて負荷の軽減を図る機能がある。今回もその機能が稼働し、全体的な障害は免れた。
しかしその結果として、インターネットバンキングやATMをつかさどる部分の機能が制限される事態に。リスクを最小限に食い止めるためにATMの機能が制限され、障害となって現れた。ATMには不正利用の食い止めや、不完全な処理の確認のため、通帳やキャッシュカードを一時的に取り込む機能がある。これが誤作動した。

リスクを最小限に食い止めることはできなかったようで、影響は甚大なものとなってしまいました。

障害を引き起こしたベンダーは?

ネット上では、障害を引き起こしたベンダーを特定する動きが出ています。定期預金であれば、担当ベンダーはハードもソフトも富士通ということは周知の事実。

富士通本店のビルに18時を過ぎても明かりがあったことで、ベンダーは富士通では?という声がネット上で相次いでいるようです。

ネット上では怒りの声多数

ネットの声Aネットの声A

みずほ銀行、ひっどいことになってんなぁ。

出金しようとしたら入り口で私服の方に止められて、事情を聴くとお金をおろしに来てカードが吸い込まれて出てこないんだとか。

つまりお客が動けなくて入り口でボランティアでやめた方がいいですよ、と言ってくれている状態。

係員誰も来なくて、中で何人も困っている。

ネットの声Bネットの声B

こういうトラブルでの即時対応するために高い手数料払ってるんじゃないの?トラブルでも対応してくれないなら、手数料はぼったくり。

ネットの声Cネットの声C

さっきコンビニ行ったら朝から郵便局と銀行ATMに行列できてるの見えた。
朝イチはいつもこうなのか、みずほ銀行のトラブル報道があってみんな不安になって銀行に行ってたのかはわからんけどなかなか密だったわ。

ネットの声まとめ
  • こんなん1回でもあったら使わなくなるな
  • 口座維持手数料とるんだっけ?
  • 吸引力の衰えないただ一つのATM
  • そんなに吸い込まれて、その通帳やカードはどこに行った、四次元にでも行ったのか
  • 例題でも見たことない重大インシデント

ネット上では、怒りや呆れ、はたまた冷やかしの声で溢れかえっていました。システム障害直後の初動対応がいくらなんでも悪すぎました。何時間もATMの前で待たされたという声が多く、寒い中、店頭で対応していたのは、カードや通帳が飲み込まれてしまったほかならぬ被害者の方でした。行員ではなく、被害者が他の来店客に「故障している」と注意して更なる被害を食い止めていたという事実。2月28日午前に発覚した今回の障害は、復旧に1日以上要し、その間の情報発信はホームページ上で行うだけ、いくら日曜日でも、支店に行員を出向かせることもできたはずなのに、それも満足にせず、困っている顧客を長時間ほったらかしにしていただけでした。

また、それら怒りの声に隠れて、本当に困っていた人の声もありました。

本当に困っていた人の声まとめ
  • キャッシュカードがATMに吸い込まれた。電話をしてもつながらない。カードが戻ってこないので、ATMから離れられない
  • カードが戻って来ないから帰れない。窓口に電話してもつながらない。寒い中ずっと待たされた
  • 明日3/1が、大学の入学金締切日で、当日手続き予定。指定振込先がみずほ銀行なんだけど、ちゃんと当日入金できるのかな?

自動ドアが開かなくなり、ATMスペースから出られなくなった人もいたそうです。このような自体になっているにも関わらず、行員は誰も駆けつけず、電話もつながらない。

もはや信頼は完全に崩れてしまっています。

カードの返却対応は良かった

戻って来なかった通帳やキャッシュカードは、翌日、銀行員が1件1件、自宅におもむき、届けたそうです。また、ボールペンなどの粗品ももらえたそうで、その対応には満足しているという声も少しですが上がっていました。

「またか」と呆れる顧客、みずほ銀行の勘定系システムは大丈夫?

みずほ銀行では2002年4月の発足時と11年3月の東日本大震災の直後にも大規模なシステム障害を起こしているのは有名な話です。

この過去2回の大規模障害を受け、再発防止策として「システム基盤の充実」「管理上の課題のクリア」「緊急時の対応体制の整備」などの方針を掲げ、全面再構築に乗り出した、みずほ銀行の勘定系システム「MINORI(ミノリ)」。

10年近く費やし、二度に渡る延期も乗り越え、刷新(さっしん)した新勘定系システムです。
2019年7月に旧システム「STEPS」から新システム「MINORI」への移行が完了し、悲願の運用開始となりました。

このシステムは、その規模が桁違いで、開発の本格化から8年、投じた金額は4000億円超の超ビックプロジェクトでした。しかし、結局、3度目を防ぐことはかないませんでした。

勘定系システムとは

少し話はそれますが、そもそも勘定系システムとは何でしょう。勘定系システムとは銀行における預金や融資、振り込みなどの業務を支える情報システムのことです。
銀行業務の心臓とも言え、勘定系システムが止まると銀行業務はすべて止まってしまいます。つまり、ATMも銀行支店の窓口も、パソコンやスマホから利用するインターネットバンキングもすべて利用できなくなります。
銀行の事業を継続するうえで、勘定系システムは絶対に止めることはできない生命線なのです。

MINORIの開発ベンダーは?

新システム「MINORI」の開発に参加したITベンダーの数は、1000社以上と前代未聞の規模に膨れ上がりました。

とりわけ重要な役割を担ったのが富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータの主要4ベンダー。国内最大手のSIベンダーが揃い踏みです。

開発工数も破格で35万人月、ピーク時で8,000人ものエンジニアが参加した開発プロジェクトです。

SOA(サービス指向アーキテクチャー)を採用し、システム変更の柔軟性を保ち、保守性を高める狙い。同行は今後のアプリケーション開発にかかる期間を約3割短くできるなどと、みずほ銀行もは新システムの有用性に自信を持っていたようですが、3度目の大規模障害が早くも発生してしまう結果となりました。

参加したエンジニアの声

エンジニアの声Aエンジニアの声A

ハードとプログラムを機能ごとに別会社に発注して作ってる継ぎはぎシステムで安定性があるわけないし。しかもそれぞれのソフト会社が別々に人を大量に確保するために外注したため、外注先で中抜きされまくって初任給の金額以下になってたところもあった。そんなシステムだからダメに決まってる。

エンジニアの声Bエンジニアの声B

リハーサルでうまく行かず、「どうなってんだよ!」「明日の朝8時に改善策を報告しろ!」等怒号が飛び交い、帰宅するのは日付が変わり朝になることも多々あった。それに耐えられなくなってリタイアし、残った人がリタイアした人の仕事も背負うという負のスパイラル状態。まさに極限状態だった。

エンジニアの声まとめ
  • コロコロ変わる仕様
  • 迷走する要件定義
  • 悲惨なデスマーチ
  • スパゲッティのような解読不能な旧システム
  • 複数ベンチャー参画による混沌

SEたちの苦悩の声が次々に出てきます。

まとめ

みずほ銀行の頭取は今回の障害を受けての記者会見で以下のように発言しています。

  • 今回の障害は想定の甘さに起因するもの
  • システムは成功裏にリリースされている
  • システムの構築はできあがったが、運用上の問題がまだ残っているんだと思う

頭取は今回の障害の責任はあくまでシステムを運用しているみずほ銀行にあると強調していました。

みずほ側が障害発生をホームページで知らせたのは午後1時ごろであり、検知から2時間後になります。顧客対応が遅れたことに対しては、

  • マニュアル通りにやろうとして柔軟性を欠いた

まあ、よくあるコメント(言い訳)です。システム障害はある意味しょうがないと言え、偉そうなことは言えませんが、顧客対応が後手に回り、混乱を広げたのがまずかったと思います。

システム障害後の対応こそが顧客重視か軽視かを試される機会であったわけですが、これでは一般顧客を軽視しているとみられても仕方ありません。

企業の資金調達が株式や債券発行による直接金融中心にシフトしているこの時代、一般顧客の預金獲得は銀行からしたらそれほど重要ではないというのがメガバンクの本音なのかと思わざるおえません。